わたしの行く道 やってみてわかったこと

 リアルな朗読発表会の中止を受けて、急遽、オンラインでの開催を提案し実行した先週末。提案したものの準備期間は短いし、参加者の多くはオンラインと程遠い人生のベテランたち。

「5人参加があればやります」と告知するも「集まるのだろうか?」また参加者がやみくもに多くなっても「テクニカルサポートが出来ない状況になるのではないか?」といった様々な不安と責任を抱えながら、とにかく走り切り、どうにか無事に開催することが出来た。

 2日目は、講座の主幹で我らが師匠である山根基世さんにもお声のみ参加頂けた。数日前に開催を打診したものの、山根さんご自身もオンライン経験はなく不安な様子。「繋がったらでOKです。何とかなります。何とかならなければその時はごめんなさい」そんな風に電話を終えていたので、お声がPCから聞こえた時には、嬉しかった。

そして画面の中の参加者40人ほどが、一様に目を丸くして身を乗り出し、拍手で師匠を出迎える姿に、目頭が熱くなった。

 去年、会社を退職することを決めたのはもちろん自分自身だけれど、その決意を聞いてほしかった方の一人が山根さんだった。

定年までNHKに勤め、その後天下ることなく、ご自身の道を歩いてきた山根さんは、ことあるごとに「会社にいるべきよ」と助言くださっていた。20代から憧れ続けている師匠の「ことば」を反芻しながらも決めた退職。

報告する私に山根さんは「あなたを認めてくれる人は会社にいないの?」と再び問うた後、こう言ってくださった。「あなたなら大丈夫。決めたなら応援するから、やりたいことをやりなさい」と。

 「やりたいことをやる」とはいえ、やりたいことのフォーカスが絞り切れてなかったり、やりたいけど勇気が持てなかったり自信がなかったり。

この1年、様々なチャレンジは重ねてきたけれど、見えないゴールにやみくもにボールを蹴っているような感覚で、何もかもが中途半端に感じていた。

 会社にいたころは、いるだけで(ちょっと極端な言い方だけど)安定した収入があった。給与を得るということは、会社に存在を認められていることの証しだ。

28年もそうした状況に浸っていたから「認められたい症候群」だったのかもしれない。中途半端感の正体は、そういうエゴがじわじわっと心を侵食していた結果だったのだろう。

 そしてもう一つの原因は「会社員時代の自身の評価の低さ」もある。

給与が「量」に関しての評価だとしたら、こちらは「質」に対しての評価だ。

あの日、山根さんから投げかけられた質問「会社にはあなたを認めてくれる人はいないの?」。残念ながら、誰も浮かばなかった。慕ってくれる人たちはいたかもしれないけれど、引き上げてくれる人を、私は見つけられなかったのだ。

 そんな「認められたい症候群」による中途半端感を乗り越えたくて、ここ数か月はコンサルを受けたり、学びを深めたりしてきた。それでも払しょくしきれなかったものが、今回のコロナ騒動ではじけた。

ただただ「やらなくちゃ」という直感に従って自分が出来ることを最大限活かして開催した「オンライン朗読発表会」。損とか得とか、立場とか、見栄えとか、そういう自分の枠を取っ払って遮二無二走ったことで、あんなに長い間モヤモヤしてきたのに、今はとても、クリアだ。

「やるしかない」ってこと。「やらなくちゃわからない」ってこと。挑戦の先にしか、自信は持てないってこと。

 「今、そこ?」という鋭い指摘が飛んできそうだが、私は私のペースでひとつひとつ体当たりして学んでいるし学んでいくしかない。そして、そこから新たなネットワークが生まれたり、これまでの繋がりがより強固なものになっていくのだろう。

 初日にオンライン発表会を聴講してくださった方からメールが来た。

「日本中が非常事態で、目に見えない緊張感やストレスが、気持ちを少しずつ消耗していきますが、昨日の朗読会のあとは、とても温かい気持ちで元気になりました」

 ありがたいなぁ。

会社員時代は、自分の存在意義に迷うばかりだったけれど、それはそれ、そこはそこ。

場所を変えれば、自分の経験やスキルが活きることがある。喜んでもらえることがある。今回のチャレンジは、そんなことも私に教えてくれた。

 さあ、今週はもうひとつの「ゴール」に向かって突っ走る・・・と言いながら、一方で自信のなさが「大丈夫か?自分」と問うてくる。

そんなに上手くいくことばかりじゃないし、歩いたことのない道では、何が起こるかわからない。それでも一歩、踏み出すしかないんだな。

 ということで、バンバン、やっていきます。バンバン、飛んでいきます。

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