ブラック→カラフル企業へ

念願のサイボウズ・青野社長の講演を聴くことが出来た。しかも最前列(これは毎度か)。サイボウズが働きやすい会社に変わった背景から始まったお話は、1時間半、あっという間だった。

2005年に離職率28%という危機を脱するために、従業員が辞めない会社にするために始めたという「働き方改革」は、青野さん曰く「ただ多様化しただけ」とのこと。100人いたら100通りの人事制度が必要だとし、ひとりひとりの「わがまま」に応えるうちに離職率は5%まで下がり、働きやすい会社の上位に7年連続で選ばれる会社になったという。さらに、働きやすいだけでなく、業界的には相当な向かい風にも関わらず売り上げもUP。これについては、従業員のモティベーションが向上したことで、ピンチに強く逃げない社員が育ち、アイディアも出るようになったと考えていると話す。

従業員の「わがまま」で生まれた人事制度は、残業なし・時短・週3勤務などといった時間制約を超えるものから始まり、在宅勤務・転居先への拠点づくりなど場所の制約を超えるものなど数知れず。強制転勤をなくし、副業を奨励し・・・思わず最前列で「うっとり」。青野さんに見とれてじゃないですよ(笑)こんな会社があるのねぇ・・・まるで夢のようだなぁと思ってね。

多様化の条件として、青野さんが挙げたのは「制度」「ツール」「風土」の3つ。いずれが欠けても上手くはいかない。とりわけ「風土」は価値観を変えるという相当に手ごわいことで「ガチガチの昭和人間」だった青野さんも覚悟を持って取り組んだそう。そこで率先垂範と、自らも3人の子育てでは育休や時短を取得したというが、そこで「子育ての大変さを実感」し、家事・育児から社会を学んだと真っすぐに話す姿勢には、立ち上がって手を叩きたくなった。経営者としても、人間としても素晴らしいです〜もうほんと、感動。

さらに「風土」を作るために大事なこととして「公明正大」であることと、「自立と議論(質問責任と説明責任)」の必要性を唱えたということも印象に残った。たとえ「制度」があってもそれを活用する「風土」がなかったり、「ツール」(IT技術など)があっても、活かしきれていない企業は沢山ある。サイボウズのように「本質」に斬りこめる企業を増やすには、何か出来ることはあるだろうか?感動してばかりじゃダメだ。先に進むために自分が出来ることを考えなくては。

印象に残ったもう一つの言葉が「一律」だ。日本の企業は、何でもかんでも「一律」にしたがる傾向があると。「一律」の残業削減、「一律」の人事制度、「一律」の評価制度・・・今の日本にはこの「一律」を「多様性」にシフトすることが必要だという。そして「多様性」がもたらす恵みは大きい。「多様性」によって社員の自立マインドが育まれるだけでなく、付加価値の高い商品やサービスが生まれやすくなると続けた。

「石垣をつくるように個性を活かす」「ブラック企業→ホワイト企業ではなく、目指すのはカラフル企業」など手元のメモ用紙は隙間なくびっしり。サイボウズだから、青野さんだから出来たことと言ってしまうのは簡単だけど、それでは何も変わらない。サイボウズもそうだったというが「小さなステップから始めていくことが大事」と青野さんは締めくくった。

「ああ、いい話を聞いたなぁ」だけで終わってしまったら勿体なさすぎるし、「もう会社は卒業したから関係ない」とするのも何だか悔しい。働き方改革コンサルタントとして、企業が変わるきっかけを作れる可能性はあるかもしれない。小さな一歩でも動かなくちゃね。

 

 

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