常葉大学コミュニケーション講座〜発表篇〜事前質問④「会話中に相手に理解してもらうために意識していることって?」

地元・常葉大学の基礎教育センターが主催してくださる「コミュニケーションのレッスン」。学びに意欲的な有志の学生さんたちが「5限」にも関わらず参加してくれる、とても熱量の高い時間です。参加申し込み時に、事前の質問を投げかけてもらっていますが、この質問にお応えするのが、私の楽しみの1つ。さあ、今日も「問い」と向き合ってみましょう!

Q:友人と話している時も、思ったことをそのまま言葉にしてしまい、単語ばかりで伝え方が難しいなって感じることがあります。会話中に相手に理解してもらうために意識していることがあったらお聞きしたいです。

「伝える」って難しいですよね。私にとっても永遠の課題です、はい…って、それで終わりってわけにはいかないのでね。あらためて掘り下げてみると・・・「伝える」のゴールは、質問者さんが書いてくださった通り「相手に理解してもらうこと」ですよね。つまり「伝わった」という状態です。そこで、あえてシンプルに、相手に「伝わったかどうか」を、私自身がどうやって確かめているかを考えてみました。

①相手をよく観る・・・相手と話している時、私は相手のことをよくよく観ています。主に表情やしぐさですかね。興味を持ってくれているか?飽きていないか?ついてきてくれているか?探りながら、話します。例えば、目が輝いて、うなづいたりあいづちをうったりしてくれていたら、概ね、伝わっているのかなと見当がつきます。逆に、不安そうな表情をうかべたり、小首をかしげたり、あくびを噛み殺したり(笑)している場合は、伝わっている可能性は低めです。

②確認する・・・ストレートすぎるかもしれませんし、相手との関係性や状況にもよりますが、不安が募ったら「伝わっているかな?」と確認することもあります。講義などでは最初に「わからなかったら、その場できいてくださいね」とお伝えするようにしています。その上で(そうは言ってもなかなか「わかりません」と挙手するのは勇気が要ると思うので)、比較的頻繁に「ここまでで質問、確認ありませんか?」と投げるようにしています。頭の中に、一旦「?」が浮かぶと、そこに囚われてしまって、その先の話が耳に入ってこなくなってしまいがち。相手が「ぽかーん」としていたら、勇気を出して聞いてみるのも一手かと。

③まず「見出し」を・・・思ったことをそのまま言葉にする前に、何を伝えたいのか、まず「見出し」を立てるとよいかもしれません。「昨日見た映画の話なんだけど」とか「アルバイト先で悩んでいることがあるんだけど、聴いてもらえる?」など、何の話をするのかを相手と握っておくと、相手も「映画の話ね」「相談なんだ」などと、行き先がわかるので、理解してもらいやすくなるかもしれません。もちろん、そんな風に論理的に話が進むことばかりではないと思います。そんな時は「ちょっと混乱していて、頭が整理しきれてないんだけど、聞いてくれる?」なんて見出しもあるかもしれません。すると相手は「ああ、取っ散らかっているんだなぁ」と多少、支離滅裂でも(笑)受け入れてくれますよ。

④相手の頭に映像を描くように・・・「見出し」を掲げたうえで、次に心がけていることは、相手の頭に丁寧に「映像」や「情景」が浮かぶように話をすることです。理想的には、自分と頭と相手の頭に「同じ映像」が浮かんでいる=再現出来ている状態です。相手が「ポカーン」としていたら、描けてない可能性大です。私自身は、テレビ局で「映像制作」の経験があるので、ある程度は身についているのですが、何かを説明する際に、基本的には「広めの映像」(抽象)から入って、段々と対象物を「クローズアップ」(具体)するようにしていました。「わかりやすさ」と言う点では、話す順番も大事かもしれません。

⑤「わかりあえない」が前提・・・最後に元も子もないことを言います。そもそも、みんな、生きてきた経験が違うので「100%分かり合う」なんてことはない!ということを前提に置くことです。理解してもらおうと思っていても、相手次第、状況次第で、そうはならないことの方が多いのが現実です。それを悲観的に捉えるのではなく「そりゃあ、わからないよね」だから「わかりあいたいんだよね」というくらいに「楽」に「楽しめれば」よいのかな?と。そういう意味で、私は常に自分自身の「ことば」も「話し方」も「話の内容」も疑っていますし、伝わったかどうかは「結果」でしかなく、しょせん、「結果」は相手次第で、コントロールできないもん!と思ってます。

その上で、どうやったら伝わるかを考え続けて、語彙を増やし続けること、具体的な経験をコンパクトに話せるように、こうして「書きためること」などを、日常で心がけています。書くことも、話すことも「大好き」なので、出来るだけ多くの「ネタの引き出し」を持っていたいと思ってます。

参考になれば幸いです。そして、当日、一緒に学び合えるのを楽しみにしています。良質な質問、ありがとうございます。

関連記事

  1. 「ことばの反射神経」のよい人

  2. 常葉大学コミュニケーション講座〜発表篇〜事前質問⑤「緊張のほ…

  3. 大勢の前で発表をすると、すぐに頭が真っ白になってしまいます。…

  4. 私の頭は「問い」だらけ

  5. 常葉大学コミュニケーション講座〜発表篇〜事前質問③「突然、人…

  6. 「コニュニケーション力」とはどのような力でしょうか?

コメント

  • コメント (0)

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA