大事なのは「メタ認知力」

こんにちは!橋本恵子です。

年に数回訪れる「スランプ」。私の場合は「ことばの反射神経」が鈍ったり、小さなことで家人にイラついたり、そして最後は、そんな自分に対して、猛烈な自己嫌悪に陥る・・・これがパターンである。

このパターンに入ると、思考がどんどんネガティブになっていく。自分に「ないもの」を探し出す。家も片付いていない、庭の草取りも出来ていない、仕事も上手く捗らない、健康管理も上手に出来ていない…「なんて私はダメ人間なんだろう」負のループがグルグル、ぐるぐる回り続ける。

一方で、このグルグル状態に陥った私を、ちょっとクールに観ている私もいる。「また、落ちてるよ」「ないもの見てるからだよ」「嫉妬したって始まらないじゃん」「そんなことわかってるのに、どうして抜け出せないの?」「ほんと、はしけいはダメだなぁ」

この俯瞰で自分を観察する「メタ認知力」が、私がドツボに陥ることを、一歩手前で何とか食い止めている。これがなかったら、ドツボどころかドドドドツボで、今以上に足掻き苦しみ、真っ暗闇だったかも。

では、そんな「メタ認知力」を、どこで培ったかと言えば、アナウンサー・キャスター時代の放送後のプレビュー(確認)作業だ。出来ていない自分を観ることは、最初はどうしようもなく苦しかった。自分への「ダメだし」があまりにも多すぎて、絶望的になったものだ。それでもそこを乗り越えて、毎回、毎回、振り返り続けるうちに、画面の向こうの「私」は、もはや「私」ではなくなってくる。そして、ひとつずつ、気になる所(ふるまい、話し方のあれこれなど)を、修正し続けるうちに、不器用な私でも、少しずつ改善されていく。時間はかかったとしても、コツコツ修正していけば、何とかはなる。でも、当時を振り返ると、今、最も力になっているのは、具体的な課題解決よりも、この作業を通して身に着いた「メタ認知力」だなぁと、苦笑いしながらも、こうしてスランプに陥るたびに思う。

司会やファシリテーションなどでも、この「メタ認知力」は重要だ。来場者や参加者の表情やコメントを確認しながら、対応している自分のことばやふるまいを、数分に一回でも構わないので、客観的に眺めてみる。私のイメージでは、複数台のカメラが設置された番組で、もっとも引きの絵を撮るカメラ目線だ。例えばサッカー中継であれば、フイールド全体を捉えるカメラ。中継映像が「クローズアップの絵」ばかりだと、どうしても息が詰まる。効果的に「引きの絵」をはさむことが、実は、視聴者の安心を生む。行き詰ったら、時々、全体を確かめること。心がけるといい。

私は運よく、仕事上で「メタ認知力」を培う機会に恵まれたが、今は、誰もが動画収録や録音が、スマホで容易に出来るようになった。そこで私は、プレゼンや発表、司会など人前でお話しする機会がある方は、一度、収録して振り返ることをおススメしている。ZOOMなどでPC前で自分でRECして、振り返りに活用するのもいい。話し方レッスンや朗読レッスンでは、録音や録画を効果的に使っているのだけれど、多くの方が「恥ずかしいから見たくない」と仰る。でもね、それが一番、もったいない。「メタ認知力」を育むためだと思って、やってみてほしい。

昔、そんなハリウッド映画があった記憶があるが、私の人生が「一本の映画」だとしたら、今の状態は、これまでにない「悶々としたスランプ」で、編集する際には、なかなかにオモシロイ状況なのかも・・・ってくらい、メタ認知できたらね。もっと楽になるかな?

まだまだ人生、修業中です。

 

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