大勢の前で発表をすると、すぐに頭が真っ白になってしまいます。

こんにちは!橋本恵子です。

ご縁を頂き、3年前から地元大学で「コミュニケーション」に関する特別授業を、年に2回、担当しています。学部学科を超えて「学びたい有志」20人程度が参加する授業で、学生のモティベーションも高く、私も、いつも以上に準備に余念がありません。

担当のYさんが、学生たちのニーズをくみ取って教えてくださることも、大変ありがたいことで、今回の授業は「コミュニケーションのレッスン②司会・スピーチ編」。事前の質問のうちの一つが、表題の「お悩み」です。

「大勢の前で発表をすると、すぐに頭が真っ白になってしまいます」

実は(ちょっと小声で)・・・私、全国放送で「真っ白」経験があるんです。果てしなく長く感じたのですが、多分10秒弱くらいでしょうか、中継現場のいちごハウスの中で、文字通り「頭が真っ白」になりました。

もう30年も前のことなのに、インパクトが大きかったんですよね。ありありと思い出すことが出来ます。

私は、朝の生の全国放送番組を担当になって2年目で、「自分のことばで伝える」ということを体感できずに、もがいていました。3分の放送(中継)で、取材から原稿を書いて、当日、自分で伝えるまでが、当時、私のキャスターとしての役割でした。自分で書いて、喋るので、何度も繰り返すうちに、内容はほぼ頭に入ります。でも、万一に備えて、手元には原稿を小さくコピーしたものを、そして、現場のディレクターは、いわゆる「カンペ」と呼ばれる、原稿を大きめのスケッチブックに書き写したものを準備していました。

その日、私は、大きな賭けに出ました。「自分のことばで伝わらないのは、手元の原稿とカンペがあるからじゃないか?どうせ原稿は頭に入っているんだから、大丈夫。この2つをあえて、使わないようにしたら、もしかしたら「自分のことば」で話せるんじゃないか」と考えたのです。そして、思い切って、二つともに使わない!ことにしました。

が・・・最後の15秒で・・・「万一」が起きたのです。頭の中が「真っ白」で「あれ、どうした橋本、おいおい、次は何だっけ」という状態になってしまったのです。

不意にだまってしまった私に、現場のディレクターもカメラマンも、いや、スタッフ全員が「何が起きた?」とポカーン。私は、真っ白の数秒を経て、「どうしたの?」という東京のキャスターの呼びかけで我に返り、あわてて、モニターに出ていたテロップ=問い合わせ先を読み上げて「以上、静岡でした」で、持ち時間を終えました。終わった後、暫く、自分でも何があったのかわからないような状況で、その後、冬なのに、汗が背中を伝うのがわかりました。呆然としていたら、番組終了後、東京のキャスターから中継車に電話が入って、必死にお詫びしたことも、よく覚えています。

さて、こんな恐ろしい経験から私が学んだのは、「大事なことは何か」ということです。若かった私の「向上心」や「挑戦心」は、それはそれで大事な事だったとは思いますが、一番大事なのは、確かな情報をわかるように視聴者に届けることで、そこに不安が残っているようであれば、この時のチャレンジは無謀なものでしかなく、手元の原稿かカンペのどちらかは「命綱」として、残しておくべきだったと言うことです。自己成長も大事だけれど、一番大事なことを見失ったが故の、大失敗でした。

人前で話しをする時に、一番大事なことは、果たして何でしょうか?

「相手に伝わる」ことだとしたら、「大事なことを話すので、紙に書いてきました、読みます」で、いいのではないかな?

真っ白になるくらいなら、私は、手元に紙を用意することも、ひとつの選択肢だと思います。

そして、もうひとつ、コツをあげるとしたら、頭の中に「文字」を浮かべるのではなく「映像」を浮かべることです。「文字」で覚えると、消えたら手がかりゼロになりますが「映像」で覚えておけば、その描写をすればいいので、真っ白にはなりません。緊張のあまり、はっ!となっても、頭の中に映像があれば、手掛かりは必ず見つかります。

「上手くやろう」「間違えないようにしよう」という自意識も、邪魔しかしません。「自意識」が浮かんでこなくなるくらい、描写汁映像を精緻に描くと言うことです。それを、そのままリポートすること!が、もっとも伝わる話し方に直結するだけでなく、真っ白になった時のリスク管理にも、実は、なるんです。

真っ白になるくらいなら

・手元に紙を準備して「読みます」と宣言する

・内容を映像で覚えて、話す

参考になれば幸いです。

※私が「真っ白」になったりしていたころの1枚 ↓ ↓ なつかしい〜若い〜ゆるして〜
 あの時の「失敗」がネタになるなんて、思ってもいなかった💦

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