「先生」って呼ばないで!

こんにちは!橋本恵子です。タイトルの写真、お気に入りの1枚です。この笑顔が見たくて、研修や講座に臨んでいます。こちらは、地元大学での授業を、スタッフの方が撮影してくれました。嬉しく励みになる1枚からスタートする「先生」について、思うことです。

企業研修でも、学校の授業でも、地域の生涯学習センターでも「講師」として登壇すると、担当者からも、受講者からも「先生」と呼ばれることが多い。私は、出来る限り打ち合わせの最初、あるいは講義の冒頭で「私は先生ではないので、先生とは呼ばないでください。今日は皆さんと一緒に学びに来ました〜」とお伝えして、状況によっては、呼び名を考えてもらう。最初は戸惑いがちでも、「『橋本さん』でもいいし『恵子さん』でもOK、縮めて『はしけいさん』とも、よく呼んでいただきますので、それでもいいですよ〜」と選択肢を並べると、いずれかを選んでくださる。

でも、話や講義を進めていくうちに、ついつい「先生」と声をかけてこられる方も多いので(笑)、その際は、しつこくならない程度に「先生じゃありませーん、次に先生って言ったら罰金ですよ〜」などと、やんわり、指摘する。余談だが、大人の方が「先生」に戻っちゃう率は高い。子どもは、一度「はしけいさん」になると、そのまんま「はしけいさん」と親しんでくれることが多い。

なぜ、「先生」って呼んでほしくないか・・・というと、幼い頃の父の「口ぐせ」に依るところが大きいかもしれない。自分が高校野球の監督を(代理で数年)していたころの経験からなのか、姉が教員を目指していたからか、理由は明らかではないけれど、「先生、先生って若い頃から呼ばれると、人は自分が優れていると勘違いをしてしまう。それだけは、絶対にダメだ」と、本当によく言っていた。私も子どもなりに「そういうものなのか」と思っていたのだろう。

今日、読み語りボランティア仲間と「先生」と呼ばれることについての話になった。おひとりの方が、自分の「勘違い」について「思い当たるわ」と、笑ってお話しくださった。もう何年も前のことだというが、学校図書館に司書としてお勤めの時、生徒たちから「先生」「先生」と呼ばれていたのに、ひとりだけ「〇〇さん」と名前で呼びかける生徒がいたという。「なぜ、彼だけが『先生』と言わないのだろう?私を認めていないのだろうか」と、当時は不満を抱いたそうだ。ところが数年たってから、自分が「『先生』と呼ばれることで、優位に立ちたかったのではないか」と気付いたという。

彼女はこんなことも話してくれた。「子ども達にとったら『先生』は、いっぱいいる。学校においては、生徒以外の大人の総称が『先生』と言ってもよいかもしれない。だとしたら、当時、あえて『○○さん』と名前で呼びかけてくれていた生徒は、自分自身を「ひとりの個人」として認めてくれていたのかもしれない」そんなことを、ふと、思ったんだそう。その上で「私も、先生、先生って言われて勘違いしてたんですよね」と。

事の真偽は確かめようもないけれど、この対話から、学べることは多い。「先生」って呼ばれることで、期待に応えようと思うのか、自分を大きく見せたくなってしまうことは、誰にでもあるのかもしれないということ。そして「先生」と言われる側と、言う側の価値観が、もしかしたら、全く違うのかもしれないということ。「先生」「先生」って言っておけば、何となくスムーズに物事が流れると思っていなかったかな?

世の中で「先生」と呼ばれる人達…学校の教員以外にも、医師、弁護士、税理士(などの士業の方々)、政治家…などなど、あらためて、「先生」って何だろう?と考える必要があるかもしれない。

もちろん、研修講師の私も…である。「先生って呼ばせてない」から良いということではもちろんなく、肩書や看板ではなく、自分の役割について、毎回、しっかりと確かめていこうと思う。

彼女が言ってたことで、もうひとつ印象に残ったこと。

「『先生』って、先に生まれただけなんですよね。もちろん、先を歩いて経験してきたことを活かしている方もいるけれど、世の中には、だからこその反面教師だっていますよね。色々な意味で『先生』って、学びの宝庫かも」

つい、彼女のことを「先生!」と呼びたくなった(笑)。

私の中では、気づきを与えてくれる人は、ある意味、みんな「先生」だから。

今日も、素晴らしい学びを、ありがとうございます。

 

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